転職活動に取り組む場合、どのように活動を行うかを考える必要があります。
利用する転職エージェントを決定することや、職務経歴書やエントリーシートのメインである志望動機や自己PRを作成する必要もあります。
しかし、一方でこうした転職活動をどのように取り組むか、という点もまた考える必要があります。
その1つが、現職で働き続けながら転職活動に取り組むのか、退職してから取り組むのかということです。
どちらもメリットとデメリットが存在し、転職希望者のおかれている状況によっても大きく左右されます。この記事では、それぞれのメリットとデメリットを考えて、どちらがよいかを判断するための情報を紹介します。
働きながら行うメリットとデメリット
初めに紹介する方法は、転職活動を、仕事を辞めずに、現職で勤務しながら行う場合です。この場合のメリットには次のような内容があります。
収入が維持される
最初のメリットとして、収入があげられます。現職で働きながら転職活動を行えば、現在の収入が途絶えませんので、経済的に困らずに済みます。現職で働きながら転職活動を行う方の理由のメインは、この収入面によるものとなっています。
現職を辞めて転職活動を行う場合には、その後の収入が完全に途絶えてしまうという大きなデメリットが存在します。
そのため、これを回避するために、例えモチベーションが上がらなくても、転職が成功するまでは我慢して続けるというパターンがあります。
転職先が見つからないリスク回避
転職活動を始めたからと言って、必ずしも全ての人が満足のできる転職先に出会えるわけではありません。
さらに、その転職活動期間を2～３ヶ月に集中して行いたいということであれば、さらにその可能性は限定されてしまいます。
退職してから転職活動を行う場合、良い転職先が見つからずに離職期間が長引いてしまったり、経済的に困ってしまった結果、理想とかけ離れた先に転職してしまう可能性があります。
少なくとも、働きながら転職活動を行えば、収入や立場を維持することができるために、転職活動を通じて納得のいく結果が得られなかった場合でも、現職で働き続けると言う保険的な選択肢が残されている点が大きな魅力になります。
以上の点から、働きながら転職活動を行うメリットとして、収入源の確保と転職活動の結果に対する保険が手に入るという点が挙げられます。
これらの点は多くの転職希望者が不安に思っているところなので、結果として多くの人が働きながら転職活動に取り組んでいます。
働きながらのデメリット
次に、働き続けながら転職活動を行うデメリットを取り上げます。
時間の確保
現職を退職せずに、働いている関係上最も大変な部分として、時間の確保があげられます。
働きながら転職活動を行う場合、現職の仕事が終了してから転職活動に取り組まなければならないために、手際良く転職活動を進めていく必要があるのです。
面接準備や、応募先企業の情報収集、履歴食・職務経歴書の作成など、転職活動には自分自身で準備をしなければならない部分も数多くあります。
働きながらそういった準備を行うことは容易ではありません。
時間に拘束されるため、転職活動に費やせる時間が少なくなることが、多いのが事実です。
面談・面接時間の確保
例として転職エージェントや応募先企業との面談が挙げられます。前述にも似ていますが、転職活動では面談や面接などに費やす時間も必要です。
転職エージェントとの面談をしなければ具体的な非公開求人などを紹介してもらうことは原則難しいのですが、その面談を行っている時間が平日の9時から17時まで、といった場合があります。
こういった場合は有給休暇を用いて面談を受けるか、夜遅い時間や土日も営業している転職エージェントを利用するか、このどちらかになります。
また面談後に応募先企業の選考に臨むことになりますが、この時間帯も問題になります。
夜遅くや土日では企業として営業していないことが多いために、転職希望者自身が応募先企業の日程に合わせていく必要があります。
エージェントとの面談はあくまで自分がお客様の立場で面談を受けるため、比較的気軽に日程を変更することができますが、応募先企業の選考の場合はそうはいきません。
対応できないと採用担当者からやる気が低いと判断され、不合格の可能性が高まってしまうためです。
職場でばれてはいけない
次に大変な部分として、働きながらの転職活動は秘密裏に行動し、転職活動を行っていることを秘密にしなければならない点が挙げられます。
職場で転職活動に取り組んでいることがばれてしまうと、やはり職場内、特に上司に対して良くない印象を与えてしまいます。
少なくとも、辞めようとしている人間に、責任のある重要な仕事は任せられませんし、会社の重要な情報も共有できないと考えられるでしょう。
結果として、転職活動が思ったように進まず、転職しないことになっても、以前と同様に勤務することができなくなる可能性があるためです。
職場内で転職活動していることがばれてしまった場合には、裏切り者として扱われる可能性が高く、出世の速度も落ちるでしょう。
そのためこうした点に配慮する必要がある点や、相談する相手を選んだりする必要がある点で高い精神的な負荷が、転職希望者にかかることになります。
働きながら転職活動を行うことのデメリットをまとめると、①時間的な制約があることと②精神的な負荷が大きいという点が挙げられます。
退職後の転職活動のメリットとデメリット
次に紹介する方法は、現職を退職してから行う場合です。
簡単に言えば、先ほどご紹介した働きながら転職活動を行なう場合のメリット・デメリットの真逆です。
整理するとメリットには次のような内容があります。
時間的な自由度が高い
退職後の転職活動の最大のメリットは時間的な制約がなくなる点です。
退職すると仕事による時間的制約がなくなるので、自由に過ごせる時間が大幅に増加します。
時間の自由度を最大限に活用して転職活動に取り組む事ができるようになります。
多くの転職エージェントでは、面談のための時間を平日の朝から夕方程度までに限定していることが少なくありません。
現職で勤務していれば受けられないこのような面談も、退職していれば関係なく行うことができます。
職務経歴書やエントリーシートの各種項目を作成する時間も十分にあり、作成した内容に対するアドバイスを受ける時間もあります。
このような時間を確保できるかどうかは、そのまま採用をもらえるかどうかに直結します。
また特に現職の環境が残業の多い職場のように、毎日働いて寝るだけの生活を送っているような人の場合には、自由になる時間が劇的に増えることになります。
そのため、精神的な意味でもより安定した状態になる可能性が高まります。
そのため転職活動によい影響を与える可能性があります。
無駄なプレッシャーが取り除かれたことにより、より本来の自分らしさを出すことができるようになるでしょう。
他にも、転職活動の意味や自分の人生について真剣に考えて将来的にどのようにしていきたいか、といったことを考える時間も確保できます。
この点があやふやだと、転職活動に失敗してしまうことが多いために、可能な限り細かく考えておくことが理想的です。
収入がなくなるデメリット
一方で、退職して転職活動をする場合、収入が無くなります。
そのため、親から離れて生活しているなど、生活費の援助を受けられない場合には、少なくとも半年から1年程度の生活費用は確保した上で退職しないと、途端に厳しい生活を送らなければならなくなってしまいます。
また転職活動中とは言え、退職後の期間は無職として扱われます。
短期間であれば問題はありませんが転職活動に取り組む期間は短くて数カ月、長くても半年程度が一般的です。
これを超えると企業の採用担当者から、余程企業から「人気の無い方」や、「別の理由で退職してしまった」など、不信感を抱かれてしまう場合があります。
そのため現職に勤務している時に比べて時間が十分にあることは事実ですが、より計画的に取り組まなければならないという点も意識しておくことが求められます。
まとめ
転職活動は働きながら行うべきか 退職してから行うべきかという、転職希望者が早い段階で直面する問題を取り上げました。
働きながら行う場合と、退職して行う場合のそれぞれメリットとデメリットをまとめましたが、この内容からどのように転職希望者が判断するかによって、その後の方向性は大きく変わります。
一般的には収入の維持と立場の保証という観点から、現職で勤務しながら転職活動に取り組む事が圧倒的に多いです。
しかし、一方でブラック企業などに努めている人の場合には、現職で勤務しながら転職活動に取り組む事はほぼ不可能である場合があります。このような場合には、退職してから取り組んだほうが転職活動を成功させることができる可能性が高まります。
それぞれの状況によって、どちらの選択肢がより現実的かは全く異なります。そのため、この点をどのように判断するかによって転職活動の取り組み方に差が発生するのです。
